ひとことで言うと
サーバーもクラスタも管理せずコンテナを動かす実行環境です。GenAIの文脈での役どころは一つで、Lambdaでは収まらない「状態を持つ・長時間動く」処理を、GPUなしで動かす場所です。
要するに、家具付き賃貸です。建物の管理(サーバー・クラスタ)は不要ですが、間取り(CPU・メモリ)は自分で決めます。ただし電源容量(GPU)の増設だけはできません。タスク定義パラメータのgpuはFargateでは無効な項目として明記されています。
GenAIの重い計算(モデル推論そのもの)をここでやろうとすると、この一点で詰まります。
なぜ生まれたか
GenAIアプリのバックエンドには、Lambdaの15分・6MBという枠に収まらない処理が出てきます。複雑なMCPサーバ(複数のツールを持ち、状態やコネクションを長時間保持する)、常時稼働するエージェントのオーケストレーション層、大きめのペイロードを扱うAPIサーバなどです。AIP-C01のスキル文でも「Lambdaでステートレスなツールサーバ、ECSで複雑なMCPサーバ」という対比で名指しされています。
Fargateはこの「サーバは要らないが、Lambdaの制約からは出たい」という要求に対して、ECS/EKSのコンテナオーケストレーションはそのままに、EC2の管理だけを外すという形で応えました。
| Lambdaでは収まらない要件 | Fargateが埋める形 |
|---|---|
| 15分を超える常駐処理 | サーバ管理不要のまま常時起動できるタスク |
| 6MBを超えるペイロード・複雑な状態 | コンテナとして自由に実装できる |
| GPUは不要・CPU/メモリだけ増やしたい | EC2の管理だけを外した実行環境 |
何に使うか
| 用途 | 使い方 | 関連ドメイン |
|---|---|---|
| 複雑なMCPサーバのホスティング | 状態や長時間コネクションを持つツールサーバをECS on Fargateで常時稼働させる | D2 |
| エージェントオーケストレーション層 | Bedrock APIを呼び出す常駐アプリ(Web UI・APIサーバ)をコンテナで動かす | D2 |
| GenAI APIのラッパー・ゲートウェイ | 認証・レート制限・ログ整形などをコンテナ側で行い、Bedrockへ中継する | D2・D3 |
試験でどう問われるか
| 問われ方 | 正解に寄る条件 | 引っかけの選択肢 |
|---|---|---|
| 「サーバ管理を避けつつ自前のOSSモデルをGPUでホストしたい」 | GPU推論が要件 → ECS/EKS on EC2(GPUインスタンス) | Fargate(gpuパラメータが使えず構造的に不成立) |
| 複雑な状態を持つMCPサーバをどこに置くか | ステートレスで軽いならLambda、状態を持ち常駐が要るなら → ECS/EKS on Fargate | すべてのMCPサーバを一律Lambdaに寄せる案 |
| サーバ管理を避けつつコンテナでBedrockを呼ぶAPIを常駐させたい | GPU不要・サーバ管理を避けたい → Fargate | EC2インスタンスを自分でプロビジョニングする案(過剰) |
Fargateのタスク定義パラメータにはgpuが存在しません。ECSのタスク定義パラメータのうちgpu・privileged・ipcModeなどはFargateで無効なパラメータとして公式に明記されています。GPU推論を要件に含むシナリオでFargateを選ぶ選択肢は、この一点だけで消せます。
実務でどう使うか
- CPU/メモリはあらかじめ決められた組み合わせからしか選べません。 最大でも32 vCPU・244GBまでで、EC2のように任意のインスタンスタイプを選ぶ自由度はありません
awsvpcネットワークモード固定。 各タスクが専用のENIを持つため、VPC設計(サブネット・セキュリティグループ)を最初から詰めておく必要があります- Fargate SpotでLLMアプリのバッチ処理・非同期ワーカーをコスト最適化できます。 中断耐性のある処理(再実行できるツール呼び出しのワーカー等)に向きます
- Bedrock呼び出し自体はFargate側のコンテナがAPI経由で行うだけ。 モデルの計算資源はBedrock側が持つため、FargateにGPUが無いこと自体はBedrock呼び出しのボトルネックにはなりません。GPUが要るのは自前でOSSモデルを動かす場合だけです
| Fargateで無効なタスク定義パラメータ | GenAI設計での意味 |
|---|---|
gpu | 自前モデルのGPU推論はここでは組めない |
privileged / ipcMode | カーネルレベルの細かい制御も対象外 |
| 最大32 vCPU・244GB | それを超える大規模並列推論はEC2起動タイプへ |
取り違えやすいもの
| 迷う相手 | 切り分けの一言 |
|---|---|
| AWS Lambda | 15分・6MBの制約を超える、または常時起動・長時間コネクションが要るならFargate側 |
| ECS/EKS on EC2 | GPU推論・カーネルレベルの制御が要るならEC2起動タイプ。サーバ管理を避けたいだけならFargate |
| Amazon Bedrock | BedrockはFM推論自体を借りる。Fargateはその周りのアプリ(呼び出し元・エージェント基盤)を動かす場所であって推論基盤ではない |
| SageMaker AIエンドポイント | 自前モデルの推論エンドポイントとしてGPUが要るならSageMaker AI。Fargateは推論エンドポイントの選択肢に入らない |
想起チェック
Q1. 「サーバ管理をせずに自前のOSSモデルをGPUで推論したい」というシナリオでFargateが正解にならない理由は?
Fargateのタスク定義パラメータにgpuが存在せず、GPUリソースを割り当てられないためです。GPUが要る場合はECS/EKSのEC2起動タイプかSageMaker AIを選びます。
Q2. LambdaとFargateでMCPサーバを分ける基準は?
**ステートレスで短時間・軽量ならLambda、状態を持ち常駐・長時間コネクションが要るならFargate(ECS/EKS)**です。AIP-C01のスキル文でも同じ対比で明記されています。