指標

Churn Rate解約率

一定期間に顧客や契約が離れた割合です。分母と解約の条件を固定して、継続率や顧客獲得コストと並べ、どの顧客群の離脱を調べるか決めるために使います。

計算式 期間中に解約した顧客数 ÷ 期間開始時の顧客数 × 100

30秒で理解

決めた期間に、顧客や契約がどれだけ離れたかを表す割合です。日本語では解約率と呼びます。

ただし、Churn Rate に共通の分母が1つあるわけではありません。月初の有料顧客を分母にするのか、期間中に新規顧客を加えた母数にするのか、契約数ではなく売上の減少を見るのかを先に固定します。比較したい2つの数字で定義が違えば、率だけ比べても判断できません。

Churn Rate は、月初に店へ通っていた会員のうち、月末までに退会した人の割合です。新しく入会した人を分母へ入れるか、休会を退会に含めるかで結果が変わるので、入口の人数と「退会」の札を同じルールで数えます。

計算式と計算例

単純な顧客数ベースでは、期間中に解約した顧客数を期間開始時の顧客数で割ります。Stripeの購読分析では、過去30日間に解約した購読者数を、30日前のアクティブ購読者数と過去30日間の新規購読者数の合計で割る定義も使われています。サービスの管理画面の定義と、自社レポートの式を一致させてください。

項目値
期間開始時の顧客数1,000人
期間中の解約顧客数100人
顧客数ベースの Churn Rate100 ÷ 1,000 × 100 = 10%

この10%は「その期間の開始時点にいた顧客のうち、100人が解約した」という読み方です。期間中に新規顧客を100人獲得しても、上の単純式の分母は1,000人のままです。新規顧客を含める定義を採用する場合は、式と期間をレポート名に残します。

この数字が表すもの

Churn Rate が表すのは、顧客を獲得した後に関係が途切れる速さです。新規顧客が増えているときでも、解約が同じペースで増えていれば、見かけの顧客数だけでは悪化に気づけません。

数字の動き読み取れる可能性次に切り分ける軸
顧客数は増えたが Churn Rate も上がった新規顧客の期待と利用体験がずれている獲得経路・初回利用・契約プラン
Churn Rate は横ばいで売上だけ落ちた解約ではなくダウングレードや低単価顧客の増加があるプラン変更・顧客単価・売上ベースの解約
特定の月の顧客だけ高いその時期の施策、機能変更、請求条件に差がある契約開始月・流入元・利用機能
顧客数の解約率は低いが売上の解約率は高い少数の高単価顧客が離れている顧客別の売上・契約金額

顧客数の Churn Rate と、MRRなど売上を基準にした Churn Rate は別の数字です。人数が残っていても高単価顧客が離れれば、事業への影響は大きくなります。

場面によって意味が変わる

「解約」を何と数えるかは、商品と契約の形で変わります。無料ユーザーの利用停止、SaaSの契約終了、ECの再購入停止を同じ式に押し込めると、改善する対象がぼやけます。

場面分母解約と数える条件一緒に見るもの
月額SaaS期間開始時の有料顧客契約キャンセル、または未払いで契約が終了契約プラン・利用機能・問い合わせ
アプリの有料会員期間開始時の有料会員サブスクリプションの終了継続率・更新日・解約理由
EC・会員サービス期間開始時の顧客定めた期間内に再購入がなく、休眠と判定初回購入日・購入間隔・商品
売上期間開始時のMRRなど顧客の解約・ダウングレードによる減少新規売上・アップグレード・返金

購読型サービスでは、Stripeは全購読がキャンセルまたは unpaid になった購読者を churned と扱います。一方、ECの「しばらく買わない」は契約終了ではないため、休眠と判定する日数を自社で決める必要があります。

高い・低いときに、次にやること

まず、顧客数の率が動いたのか、売上が動いたのかを分けます。次に解約顧客だけを抽出し、契約開始月・流入元・プラン・最後に使った機能を並べます。

状態開く場所次にする操作
顧客数の解約率が上がった顧客・契約一覧の解約済みフィルター期間を固定し、解約日・契約開始日・プラン・流入元で絞り込む
特定コホートだけ高いGoogle アナリティクスの「探索」→「テンプレート ギャラリー」→「コホート データ探索」Inclusion criterion を初回契約や初回購入、Return criterion を継続利用や再購入に設定し、週次または月次で比較する
顧客数は変わらないが売上が落ちた請求・売上の月次レポート解約、ダウングレード、返金を分けて金額を合計する
原因が1つに絞れない解約顧客の詳細一覧直近3コホートを同じ条件で並べ、最初に差が出る利用日・機能・プランを1つだけ確認する

Google アナリティクスのコホート探索は、コホートに入れる条件と、その後に戻ったと判定する条件を設定して、日・週・月単位でグループを比較できます。解約理由を直接持っていない場合でも、解約前の利用行動に差があるかを確認する入口になります。

判定を始める画面は、まず顧客・契約一覧の解約済みフィルターです。そこで解約日、契約開始日、プラン、流入元の列を表示し、解約顧客が集中する条件を1つ特定します。

注意点

Churn Rate の大小だけで施策の成否を決めないでください。分母に新規顧客を含めるか、休会・未払い・返金をどう扱うか、顧客数と売上のどちらを測るかで値が変わります。レポートには対象期間、分母、解約条件、顧客数か売上かを併記します。

新規顧客が急増した月や、年契約の更新月では、月次の率の見え方が変わります。少数の高単価顧客の解約は、顧客数ベースでは小さくても売上ベースでは大きくなります。比較表には、Churn Rate だけでなく顧客数、売上、解約件数を同じ期間で置いてください。

一次情報

普遍的な内容なので、定期の見直し対象にしていません。