指標

LTV顧客生涯価値

1人の顧客が取引を始めてから離れるまでに生む価値を表す指標です。獲得にかかった費用と並べると、広告や営業にいくら使えるかを判断できます。

計算式 顧客あたりの平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間

30秒で理解

LTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が取引を始めてから離れるまでに生む価値です。

LTVを動かす要素として継続率(リピート率)が挙げられることがありますが、これらは定義が組織ごとに違います。何%を継続とみなすか、どの期間で測るかを先に決めないと、同じ「継続率」でも別の数字になります。 初回購入の金額だけでなく、その後のリピート購入や契約更新まで含めて、顧客を平均的な1人分として見ます。

Google アナリティクスのLTVは、ウェブサイトやアプリでの購入による総収益を示します。これは「利益」ではありません。原価、広告費、提供にかかる費用を引く前の売上ベースで見るなら、LTVと利益を混同しないようにします。

一度の会計ではなく、顧客ごとの買い物かごを最後まで追いかけた合計です。初回のレシートだけを見ると、その顧客が後日買った分を落とします。LTVは「この顧客群を迎えるために、最終的にどれくらいの売上が積み上がったか」を見る箱です。

計算式と計算例

自社で概算するときは、平均購入単価・一定期間あたりの購入頻度・平均継続期間を掛けます。ここで使う「継続期間」は、顧客の定義や観測期間に合わせて決めてください。この式は実務上の簡易推定であり、返品、値引き、休眠、契約更新、粗利をどう含めるかで結果が変わります。

項目設定例計算
顧客あたりの平均購入単価5,000円1回あたり
購入頻度年4回1年あたり
平均継続期間2年顧客群の平均
簡易LTV40,000円5,000 × 4 × 2

この例では、顧客1人あたりの売上を40,000円と見積もります。広告や営業の費用を回収できるかを判断するときは、同じ顧客群・同じ期間のCACと並べます。利益で判断したい場合は、売上LTVから原価や提供費を引いた「粗利ベースの顧客価値」を別の列で管理します。

この数字が表すもの

LTVが表すのは、顧客を1人獲得した後にどれだけの売上または利益が積み上がるかです。何を価値と呼ぶかを先に固定しないと、チームごとに違うLTVを比べることになります。

LTVの置き方分子に入れるもの向いている判断
売上ベース購入・契約更新などの収益顧客群ごとの売上規模を比べる
粗利ベース売上から商品原価や提供費を引いた額獲得費をどこまで負担できるか見る
実績LTVすでに観測できた購入・更新既存顧客やコホートを振り返る
予測LTV今後の購入・解約の見込みを含む推定予算配分や対象顧客を仮説検証する

Google アナリティクスのユーザーライフタイムでは、LTVを合計・平均・パーセンタイルで確認できます。平均だけでは一部の高額顧客に引っ張られるため、顧客群のばらつきを見るときは中央値などの分布も同時に確認します。

場面によって意味が変わる

同じLTVでも、顧客をどの時点で区切るか、売上と利益のどちらを価値にするかで数字の意味が変わります。比較する前に、集計条件を表の列名やメモに残します。

場面顧客の区切り方先に固定する条件
EC・単発購入初回購入月や初回購入チャネル返金、値引き、送料、税込・税抜
サブスクリプション契約開始月やプラン更新、解約、休止、無料期間
アプリ初回利用・初回課金のコホート購入イベント、広告収益、端末・ユーザーID
B2B契約開始や企業単位契約更新、追加購入、導入・支援費

GA4のLTVは購入イベントなどから集計され、返金イベントは差し引かれます。一方、自社の顧客台帳で計算するLTVは、返金や原価を別処理にしていることがあります。管理画面のLTVと会計・受注データのLTVが違うときは、まずこの集計条件を並べます。

高いときに、次にやること

LTVが高い顧客群を見つけたら、全体平均をそのまま広告予算の根拠にしません。どの顧客群が、どの流入元や商品を経由して高くなったかを順番に確かめます。

確認順開く場所操作
1顧客・受注レポート初回購入月、流入元、商品をディメンションにしてLTVを並べる
2コホートレポート同じ初回購入月の顧客を選び、継続購入と売上の推移を開く
3広告管理画面高LTVの顧客群を生んだキャンペーンの費用と新規顧客数を並べる
4商品・契約レポートリピートや更新を生んだ商品、プラン、解約前の行動を開く
5CACの集計表同じ顧客群・同じ期間のCACと粗利ベースLTVを比較する

高LTVの理由が「一部の高額顧客」なのか「多くの顧客が継続した結果」なのかで、次の施策は変わります。最初にGoogle アナリティクスの「探索」から「ユーザーライフタイム」を開き、初回流入元ごとのLTVを平均だけでなく合計と分布でも確認します。

低いときに、次にやること

低いLTVを見つけたら、購入単価・購入頻度・継続のどれが落ちているかに分解します。LTV全体だけを眺めても、商品を変えるべきか、継続導線を直すべきかは決まりません。

見えている状態先に見るデータ次に押す場所
単価が低い商品別の平均注文金額、値引き受注・ECの「商品別売上」で値引きと返金を開く
購入頻度が低い顧客ごとの購入回数、購入間隔顧客コホートで初回購入月を固定し、リピート購入を開く
継続期間が短い解約、休眠、更新率サブスクの解約レポート、または顧客の最終購入日を開く
特定チャネルだけ低い流入元別のLTVとCACGoogle アナリティクスのユーザーライフタイムで初回流入元を絞る
GA4だけ低い収益イベントと返金イベントGA4の「管理」→「DebugView」で購入の金額・通貨を確認する

最初の一手は、LTVを構成する3列(平均購入単価・購入頻度・継続期間)を顧客群ごとに作ることです。最も低い列が分かったら、その列の元データを作っている受注、顧客、解約のレポートを開き、1つの条件だけを変えて差を記録します。

注意点

LTVがCACを上回っただけでは、利益が出たとは判定できません。売上ベースのLTVなら、原価、提供費、決済手数料、返金、継続のための費用を引いてから回収を判断します。比較するLTVとCACの定義・期間・顧客単位をそろえてください。

落とし穴起きること確認する列
初回購入だけをLTVにするリピートや更新を落とす顧客ごとの累計購入額・更新額
平均だけを見る少数の高額顧客で全体が高く見える中央値やパーセンタイル、顧客数
売上LTVを利益と呼ぶ獲得費や原価を回収できない粗利、提供費、決済手数料
予測LTVを実績として扱うまだ発生していない金額を確定視する観測期間、予測期間、実績額
GA4と受注データを無条件に比べる返金や通貨、イベントの違いで差が出る収益イベント、返金、通貨、期間

比較表の先頭に「売上か粗利か」「顧客の単位」「観測期間」「返金の扱い」を書き、その同じ条件でLTVとCACを並べます。最初に開く画面は、Google アナリティクスの「探索」→「ユーザーライフタイム」です。

一次情報

普遍的な内容なので、定期の見直し対象にしていません。