30秒で理解
Gross Profit(粗利、売上総利益)は、売上高から売上原価を引いた残りです。商品を仕入れて売る場合なら仕入れの金額、製造する場合なら製造に直接関係する原価などを差し引きます。
売上が増えていても、原価や値引きが大きければ粗利は増えません。広告や集客の成果を「売れた金額」だけでなく、原価を払った後にいくら残るかで判断するための指標です。
売上高がレジの合計、粗利が商品を仕入れるための支払いを済ませた後にレジへ残る金額です。店員の給料や家賃を引く前なので、粗利は最終的な利益ではありません。
計算式と計算例
基本式は「売上高 − 売上原価」です。同じ期間・同じ商品範囲の数字を使います。売上原価は、売れた商品や提供したサービスに対応する原価であり、広告費や営業部門の人件費などの販管費とは分けて集計します。
| 項目 | 金額 | 計算上の扱い |
|---|---|---|
| 売上高 | 100,000円 | 基準になる売上 |
| 売上原価 | 60,000円 | 売れた商品に対応する原価 |
| 粗利 | 40,000円 | 100,000円 − 60,000円 |
| 広告費 | 15,000円 | 粗利の後に別途確認する費用 |
この例では、広告費まで引いた残りは25,000円ですが、それは粗利ではありません。広告費、決済手数料、配送費を粗利に含めるかは会社の管理会計の定義で変わるため、比較前に集計ルールを固定します。
この数字が表すもの
粗利が表すのは、売上を作る商品・サービス自体の採算です。売上高と並べると、販売量の変化と、1件あたりに残る金額の変化を分けて読めます。
| 売上高 | 粗利 | 読み方 | 次に見るもの |
|---|---|---|---|
| 増えた | 増えた | 販売量または単価の増加が原価増を上回った | 商品別の売上・粗利 |
| 増えた | 横ばい | 原価、値引き、商品構成が増加分を消化した | 商品別の原価率と値引き |
| 横ばい | 減った | 原価率の上昇や低粗利商品の比率上昇が疑われる | 仕入単価と商品構成 |
| 減った | 減った | 販売量の減少か、採算悪化が同時に起きている | 注文数、単価、原価を分解 |
粗利は「会社に最終的に残る利益」ではありません。損益計算書では売上高と売上原価の差額の後に、販売費及び一般管理費などが続くため、粗利がプラスでも営業利益がマイナスになることがあります。
場面によって意味が変わる
同じ粗利でも、何を売上原価に含めるかで比較可能性が変わります。物販、受託サービス、サブスクリプションでは、原価の集め方が同じとは限りません。
| ビジネス | 原価として確認する候補 | 判断時の注意 |
|---|---|---|
| 物販・EC | 仕入、製造費、商品の入庫・払出に対応する費用 | 返品、値引き、送料の扱いを期間ごとにそろえる |
| 受託・制作 | 案件に直接ひもづく外注費、材料費、作業工数 | 共通の人件費を原価に入れるか管理ルールを確認する |
| SaaS・デジタルサービス | サーバー費、配信費、提供に直接必要な費用 | 開発費や営業費を原価へ混ぜず、社内定義を記録する |
| 広告運用 | 売上と原価を媒体の管理画面だけで完結させない | 広告費は粗利後の費用として別列で見る |
別の会社や別のレポートの粗利を、そのまま横比較しないでください。売上原価に含める費用、税込・税抜、返品・値引きの処理が違うと、同じ「粗利」でも中身が変わります。
高い・低いときに、次にやること
粗利が変わったら、まず会計または受注の売上レポートを開き、同じ期間の「商品別売上」「商品別原価」「値引き」「返品」を並べます。その後、原因に応じて開く画面を分けます。
| 判定 | 次に押す場所 | 具体的な操作 |
|---|---|---|
| 売上高は増えたが粗利が増えない | EC・受注システムの「商品別売上」 | 商品別に売上高と売上原価を並べ、低粗利商品の注文数が増えていないか確認する |
| 粗利が急に下がった | 会計ソフトの「損益計算書」 | 前月と当月の売上原価を開き、仕入・外注・材料など増えた科目を特定する |
| 粗利が商品間で大きく違う | 商品・SKU別の原価レポート | 原価率の高い商品を1つ選び、仕入単価、販売価格、値引きを開く |
| 粗利はあるが広告施策の採算が不明 | 広告管理画面の「費用」と受注レポート | 同じ期間・キャンペーンで広告費と粗利を横に置き、売上だけで評価しない |
| 集計結果を比較できない | 会計ソフトの「勘定科目」または集計設定 | 税込・税抜、送料、決済手数料、返品をどの科目へ入れるか確認し、定義を記録する |
粗利が低いときに販売量だけを増やすと、原価を回収できない注文も増えます。最初に開く場所は広告管理画面ではなく、会計ソフトまたは受注システムの損益計算書・商品別売上レポートです。そこで原価率が上がった商品を1つ特定し、仕入単価か販売価格か値引きのどれが動いたかを開いてください。
注意点
粗利を施策の判定に使うときは、売上高と同じ期間・同じ取引範囲で集計し、何を原価に含めたかを残します。指標名だけをそろえても、定義が違えば判定はずれます。
粗利率の高さだけで、広告を増やす判断はできません。粗利から広告費、決済手数料、配送費などを引いた後に残る金額と、注文獲得数を同じ期間で確認します。
| 落とし穴 | ずれた判断 | 確認する列 |
|---|---|---|
| 売上と原価の期間が違う | 今月の採算を誤って読む | 売上日、原価計上日、対象期間 |
| 粗利と営業利益を混同する | 販管費を引く前の数字で黒字と判断する | 粗利、販管費、営業利益 |
| 売上原価に含める費用が毎月変わる | 前月比が比較不能になる | 原価科目、集計ルール、変更日 |
| 売上だけで広告を評価する | 売れているが残らない施策を増やす | 売上、粗利、広告費、注文数 |