30秒で理解
ROI(Return on Investment)は、投資した金額に対して利益が何%残ったかを表します。売上が増えたかではなく、費用を回収したあとに利益が残ったかを見る数字です。
100円を仕入れと販売の準備に使い、利益が20円残ったらROIは20%です。売上が200円あっても、原価や広告費などの支出が180円なら、ROIは20%にとどまります。
計算式と計算例
まず、売上から対象にした費用を引いて利益を出し、その利益を投資額で割ります。利益に何を含めるかは目的に合わせて固定してください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上 | 500,000円 |
| 商品原価 | 250,000円 |
| 広告費・運用費 | 150,000円 |
| 利益(500,000 − 250,000 − 150,000) | 100,000円 |
| 投資額(原価+広告費・運用費) | 400,000円 |
| ROI(100,000 ÷ 400,000 × 100) | 25% |
この例では、400,000円の支出に対して100,000円の利益が残っています。売上 ÷ 広告費で計算すると別の数字になるため、それはROIではなくROASとして分けて記録します。
この数字が表すもの
ROIが表すのは、投資した費用を利益でどれだけ回収できたかです。複数の施策を比べるとき、売上の大きさだけでは見えない採算を確認できます。
| 数字の状態 | 読み取れること | 次に確認すること |
|---|---|---|
| ROIがプラス | 対象にした費用を差し引いて利益が残っている | その利益が一時的か、同じ条件で再現したかを見る |
| ROIが0% | 利益と投資額が同じ | 費用の範囲と、続ける最低ラインを確認する |
| ROIがマイナス | 投資額を利益で回収できていない | 売上・原価・費用のどれが想定から外れたかを分解する |
| 売上は大きいがROIが低い | 売れていても費用が利益を押し下げている | 商品別・キャンペーン別に原価と費用を並べる |
場面によって意味が変わる
同じROIでも、分母に入れる費用の範囲で結果が変わります。比較するときは、対象期間と費用の範囲を列名や集計表に残します。
| 場面 | 分母に入れるもの | 向いている判断 |
|---|---|---|
| 商品・キャンペーン単位 | 原価、広告費、外注費など直接ひもづく費用 | 商品やキャンペーンを続けるか |
| 広告だけの採算確認 | 広告費と、広告経由の売上・利益 | 配信先や広告の予算を変えるか |
| 事業全体 | 人件費、ツール費、固定費を含む費用 | 事業として投資を回収できているか |
| 将来価値を含める分析 | 初回の費用と、顧客が将来生む利益 | 獲得施策を短期売上だけで止めるか |
広告管理画面で売上を広告費だけで割った数字はROASです。Google Ads の用語集でも、ROIは総利益を総支出で割り、ROASはコンバージョン価値を総支出で割るものとして分けています。
高いときに、次にやること
ROIが高い施策を見つけても、いきなり予算を増やしません。まず、利益の計算条件が他の施策とそろっているかを確認します。
| 確認順 | 開く場所 | 画面・表で見ること | 次の操作 |
|---|---|---|---|
| 1 | 収益・会計の集計表 | 売上、原価、広告費、運用費の期間が一致しているか | 対象期間と費用項目を固定して保存する |
| 2 | 広告管理画面のキャンペーン一覧 | キャンペーン別の費用とコンバージョン数 | ROI計算に使うキャンペーンを1つ選ぶ |
| 3 | 商品・注文レポート | 商品別の売上と原価 | 売上ではなく粗利を計算表へ転記する |
| 4 | ROIの比較表 | 高いROIが少額・少件数の偶然ではないか | 件数、期間、費用を添えて前月と比較する |
| 5 | 予算設定画面 | 増額後も利益を確保できる上限 | 増額幅を1つ決め、次の集計期間を記録する |
判定がついたら、広告管理画面のキャンペーン名と、会計側の費用項目を同じ表に並べます。ROIが高い理由が「利益率の高い商品」なのか「広告費が少ないだけ」なのかを分けてから、予算設定を開いて変更幅を決めます。
低いときに、次にやること
ROIが低いときは、数字を1つの塊として見ず、売上・原価・投資額のどこが動いたかを分けます。
| 状態 | 先に見る列 | 画面で行うこと |
|---|---|---|
| 売上が減った | 商品別・キャンペーン別の売上 | 前期間と比べ、売上が減った行を開く |
| 原価が増えた | 商品別の原価・粗利 | 仕入れ価格や商品構成の変化を確認する |
| 広告費だけ増えた | 広告管理画面の費用と購入数 | 費用が増えて購入数が増えていないキャンペーンを抽出する |
| 利益はあるがROIが低い | 投資額の内訳 | 原価、広告費、外注費、ツール費を分けて寄与額を見る |
| ROIが月ごとに大きく変わる | 注文数と集計期間 | 少数の注文に左右されていないか期間を延ばして確認する |
原因が広告費なら、広告管理画面で費用と購入数をキャンペーン別に並べ、費用だけ増えた行を停止候補として印を付けます。原価や売上が原因なら、商品・注文レポートで該当商品の粗利を開き、広告の変更と混ぜずに記録します。
注意点
ROIは、計算に入れた費用の範囲が違う数字同士を比べると意味が崩れます。「広告費だけを入れたROI」と「人件費まで入れたROI」は、同じ列に置かず、計算条件を名前に残してください。
| 落とし穴 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 売上を利益として扱う | 原価や運用費を引かないため、採算を過大評価する | 売上から対象費用を引いて利益を作る |
| ROIとROASを混ぜる | 売上 ÷ 広告費を、利益ベースの数字として判断する | 列名にROIかROASか、分子と分母を書く |
| 全体平均だけを見る | 高い商品と低い商品が平均に埋もれる | 商品・キャンペーン別に同じ条件で集計する |
| 直近の売上だけで決める | 後から確定する注文や費用を落とす | 集計期間と確定日をそろえる |
| 将来の利益を無条件に足す | まだ発生していない利益で現在の採算をよく見せる | 将来分は別のシナリオ列に分ける |
最後に開くのは、広告管理画面のキャンペーン一覧と、売上・原価を含む収益集計表です。同じ期間と同じ施策名で2つを突き合わせ、利益が投資額を上回っている行だけを予算変更の候補に残します。