計算機
LTVとCACを、同じ顧客群・同じ集計期間・同じ費用の範囲から入力します。LTVは顧客が取引期間全体にもたらす価値、CACは新規顧客を1人獲得するための費用です。
| 入力欄 | 入れる数字 | 例 |
|---|---|---|
| LTV | 1人の顧客が生む売上または粗利 | 60,000円 |
| CAC | 新規顧客1人の獲得にかかった費用 | 20,000円 |
| 結果 | LTVをCACで割った比率 | 3.0倍 |
CAC が0円の場合は割り算ができないため、比率は算出しません。LTVとCACの定義が決まっていない場合は、先に各入力値の集計範囲をメモしてから使います。
計算式
LTV/CACは、顧客生涯価値を顧客獲得コストで割って求めます。Stripeも、LTVとCACの関係を顧客あたりの経済性や成長の持続性を見る材料として説明しています。
顧客1人から得る将来の収穫を、その顧客を迎えるための費用で割る計算です。収穫が6万円、費用が2万円なら、費用1円あたり3円分のLTVがある、と読みます。
式は次のとおりです。
LTV/CAC = LTV ÷ CAC
計算例
月額5,000円の顧客が平均12か月継続し、販売・マーケティング費用が30万円、その期間に新規有料顧客を15人獲得したとします。ここでは比較しやすいように売上ベースのLTVを使います。
| 項目 | 数値 | 計算 |
|---|---|---|
| 月額売上 | 5,000円 | 1人あたり |
| 継続期間 | 12か月 | 平均 |
| LTV | 60,000円 | 5,000円 × 12か月 |
| 獲得費用 | 300,000円 | 同じ期間 |
| 新規有料顧客数 | 15人 | 同じ期間 |
| CAC | 20,000円 | 300,000円 ÷ 15人 |
| LTV/CAC | 3.0倍 | 60,000円 ÷ 20,000円 |
原価や提供費用がある場合は、売上ではなく粗利をLTVに入れて再計算します。売上ベースの3.0倍と粗利ベースの3.0倍は、回収できる金額が同じとは限りません。
結果の読み方
この比率は、顧客獲得費用に対して顧客価値がどれだけあるかを示します。利益や現金の回収時期を単独で確定する数字ではありません。
| 結果 | 読み方 | 次に開く表 |
|---|---|---|
| 1.0倍未満 | 計算したLTVだけではCACに届いていない | 顧客群・チャネル別の粗利表 |
| 1.0倍以上 | LTVがCACを上回っている | CAC回収期間と月次粗利の表 |
| 3.0倍前後 | SaaSで使われる参考水準の一つ。ただし業種や計算条件で意味は変わる | 粗利率・解約率・チャネル別の表 |
| 極端に高い | CACの費用漏れ、またはLTVの仮定を確認する | 販売・マーケティング費用の明細 |
StripeはSaaSの参考値として3:1を紹介していますが、これは全業種にそのまま適用する合格ラインではありません。比率を見たら、同じ顧客群の粗利とCAC回収期間を続けて確認します。
入力値を揃える
比率が不自然なときは、数値を変える前に入力条件を揃えます。LTVだけ売上、CACだけ広告費という組み合わせでは、費用の重さを比較できません。
| 確認項目 | 揃える内容 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 期間 | 月次・四半期などを一致させる | 売上レポートと費用レポートの日付範囲 |
| 顧客 | 同じプラン、地域、獲得チャネルにする | 顧客一覧・コホート表 |
| LTVの基準 | 売上か粗利かを固定する | 商品別の原価・提供費用の表 |
| CACの範囲 | 広告費だけか、営業・制作・ツール費を含むか決める | 販売・マーケティング費用の明細 |
| 分母 | 新規顧客の定義を固定する | 新規契約・初回購入の集計 |
条件を揃えた後も比率が低い場合は、チャネル別にCACを並べて高い順に確認します。比率が高すぎる場合は、同じ費用明細に営業人件費や導入支援費が含まれているかを確認します。
注意点
LTVは過去の実績だけでなく、継続期間や購入頻度の仮定を含む推計値になることがあります。顧客数が少ない段階では、全体平均だけでなく獲得月ごとのコホートも残します。
3.0倍と表示されても、12か月後に現金が3倍戻るという意味ではありません。LTV/CACは長期価値と獲得費用の比率です。回収の速さを判断するときは、顧客あたりの月次粗利でCACを割った回収期間を別に計算します。
| 入力の間違い | ずれる理由 | 入れ直す数字 |
|---|---|---|
| 月額LTVと年次CACを組み合わせる | 集計期間が一致しない | 同じ期間に揃えたLTVとCAC |
| 売上LTVと広告費だけのCACを比べる | LTVと費用の範囲が非対称になる | 原価・営業費などの扱いを固定した値 |
| 予測LTVだけを使う | 解約や購入頻度の変化を反映しない | 実績コホートと予測値を分けた値 |
| 比率だけで配信を増減する | 回収時期や顧客の質が分からない | 月次粗利・回収期間・継続率 |
最初に確認する1つ
まず、顧客・売上分析のコホート表で直近の獲得月とチャネルを1つ選び、同じ顧客群のLTVを開きます。次に、販売・マーケティング費用の明細で同じ期間・チャネルのCACを開き、その2つをこの計算機へ入力してください。結果が1倍未満なら粗利表、1倍以上ならCAC回収期間の表を続けて開きます。
最初に押す場所は計算機ではなく、LTVとCACの同じ行を確認できるコホート表です。同じ顧客群・期間・費用範囲が揃っていれば、表示された比率を次の判断へ持ち運べます。