症状
ROASが低いとは、広告費に対して計測されたコンバージョン価値が少ない状態です。Google 広告では、ROASはコンバージョン価値を広告費で割った比率として表示されます。ただし、低い数字を見つけても、すぐに広告文や入札を変えません。分子の価値が正しく入り、比較期間と対象キャンペーンがそろっているかを先に見ます。
ROASの診断は、レジの売上と仕入れ台帳を同じ期間で照合する作業です。売上が少ないのか、レジへの記録が欠けているのか、広告費だけ別の期間なのかで、次に触る場所が変わります。
上から順に確認する表
同じ期間・同じキャンペーン範囲で、次の表を上から確認します。原因が見つかった行では、変更を加える前に対象と日時を記録します。
| 順番 | 最初に開く場所 | 判定 | 次に開く場所 |
|---|---|---|---|
| 1 | Google 広告「キャンペーン」 | 費用、コンバージョン値、コンバージョン値 / 費用が同じ期間で表示されているか | 期間設定と列の編集 |
| 2 | 「目標」→「コンバージョン」 | 購入など、価値を測りたい行動が「コンバージョン」に含まれているか | コンバージョン アクションの設定 |
| 3 | コンバージョン アクションの設定 | 価値が未設定、固定値、または実際の注文額と違う状態でないか | 「値」と計測タグの設定 |
| 4 | キャンペーン・広告グループ | どの配信単位で費用が出て、価値が戻っていないか | 商品、検索語句、地域、デバイスの内訳 |
| 5 | 変更履歴 | 予算、入札、広告、商品価格、計測を変えた日と低下日が重なるか | 変更前後の期間比較 |
| 6 | 入札設定 | Target ROASを高くしすぎて配信量を制限していないか | キャンペーンの入札設定 |
各分岐でやること
価値が欠けている・違っている
購入数が社内データにあるのにコンバージョン値がゼロ、または毎回同じ小さな値なら、広告の効率を評価する前に価値の入力を直します。Google 広告のヘルプでも、コンバージョン値を入力しないと「コンバージョン値」指標を有効に使えないと説明されています。
| 見え方 | 判定 | その場で記録すること |
|---|---|---|
| 購入数はあるがコンバージョン値が空欄 | 購入アクションに価値が入っていない可能性 | コンバージョン名、値の設定、最後に購入が記録された時刻 |
| 注文ごとに違うはずの値が同じ | 動的な注文額が渡っていない可能性 | 実注文額、記録された値、注文ID |
| 問い合わせに売上と同じ価値が入っている | 成果の価値定義が混在 | 成果名、1件あたりの価値、受注率 |
| 広告管理画面と注文データの期間が違う | 期間または計上基準が不一致 | クリック日、購入日、レポート期間 |
Google 広告で「目標」→「コンバージョン」→対象アクション→「設定」を開き、「値」を確認します。注文額を使う設定なら、テスト注文の金額と管理画面へ渡った値を1件対応させます。ここが一致しないまま、目標ROASを変更しません。
費用だけが増えている
価値の入力が正しく、ROAS低下が続いているなら、キャンペーン一覧で費用とコンバージョン値を分解します。平均ROASだけでは、1つのキャンペーンが全体を下げているのか、全体で購入価値が落ちたのかが分かりません。
| 状態 | 読み方 | 開く場所 |
|---|---|---|
| 費用増・コンバージョン値横ばい | 支出だけが増えた可能性 | キャンペーンの変更履歴と予算 |
| クリック増・購入横ばい | 流入の意図、商品、ページを確認 | 検索語句とランディングページ |
| 購入数横ばい・平均注文額低下 | 商品構成や割引を確認 | 商品別の注文データ |
| 特定の配信単位だけROAS低下 | 全体設定を変えず、その単位を調査 | 広告グループ、商品、地域、デバイス |
費用が大きく、コンバージョン値が少ない配信単位を1つ選びます。その単位で検索語句または商品を開き、広告が約束した内容と遷移先の商品・価格が一致しているかを確認します。除外や予算変更をする場合は、対象単位を1つに限定し、変更前の費用・価値・ROASを保存します。
計測は正しいが、成果の価値が低い
購入は記録され、注文額も一致しているのにROASが低いなら、広告費に対して売上が足りない状態です。この場合は、クリック数、コンバージョン率、平均注文額のどこが動いたかを分けます。
| 変化 | 先に見るもの | 次の操作 |
|---|---|---|
| クリック単価だけ上昇 | 検索語句、入札、競合状況 | 費用の大きい検索語句を開く |
| クリックは同じで購入率低下 | 広告とページの一致、フォーム、在庫 | 変更履歴と購入導線を開く |
| 購入数は同じで注文額低下 | 商品構成、割引、返品 | 商品・注文データを照合する |
| すべて同じでROASだけ急落 | 価値の計上遅延、期間、アトリビューション | クリック日基準と購入日基準を分ける |
Google 広告の主要なコンバージョン列は、広告クリックの時点を基準に集計されます。注文データや別の分析ツールと比べるときは、購入日基準の数字と混ぜず、同じ基準で比較します。直近の期間を評価しているなら、計測の反映待ちも確認対象に残します。
Target ROASを設定している
Target ROASが低迷の原因とは限りませんが、目標を高く設定すると広告が参加する機会やトラフィックが制限される場合があります。設定値を変える前に、実績と目標を同じ期間で並べます。
目標ROASを数字合わせのために急に下げません。変更前の目標、費用、コンバージョン値、実績ROASを保存し、対象キャンペーンを1つに絞って変更履歴に残します。
Google 広告で「キャンペーン」→対象キャンペーン→「設定」を開き、入札戦略のTarget ROASを確認します。目標より実績が低い場合は、まず価値設定と配信単位を再確認し、それでも変更が必要なら変更日と比較期間を決めてから操作します。
判定がつかないときの逃げ道
データが少ない、複数の変更が同じ日に入っている、社内の注文と広告の成果が対応しない場合は、広告全体の設定を触らず、1キャンペーン・1商品・1コンバージョンに範囲を固定します。
| 記録する列 | 入力する内容 |
|---|---|
| 比較期間 | ROASが低い期間と、その直前の同じ長さの期間 |
| 対象 | キャンペーン1つ、商品またはサービス1つ |
| 成果 | コンバージョン名、含める設定、件数、コンバージョン値 |
| 費用 | 費用、クリック数、平均クリック単価 |
| 実売 | 注文数、売上、返品・キャンセル、粗利を別列で記録 |
| 変更 | 予算、入札、広告、ページ、タグを変えた日 |
この表で「社内注文あり・広告の価値なし」なら計測と紐付けを先に確認します。「広告の価値あり・実売なし」なら、成果の定義やアトリビューションを確認します。「価値も実売も正しい・費用だけ高い」なら、費用の大きい検索語句、商品、地域の順に1単位ずつ開きます。
最初にやる1つ
今日開く画面は、Google 広告の「キャンペーン」です。期間をROAS低下前と同じ長さにそろえ、「費用」「コンバージョン」「コンバージョン値」「コンバージョン値 / 費用」を表示します。ROASが低いキャンペーンを1つ選び、次に「目標」→「コンバージョン」で、分子に入る行動名と価値設定を確認してください。
| 操作 | 押す場所 |
|---|---|
| 1 | 「キャンペーン」を開く |
| 2 | 日付を比較にし、費用・コンバージョン・コンバージョン値・コンバージョン値 / 費用を表示する |
| 3 | ROASが低いキャンペーンを1つ選ぶ |
| 4 | 「目標」→「コンバージョン」を開く |
| 5 | 「コンバージョンに含める」成果と「値」の設定を記録する |
| 6 | 正しければそのキャンペーンの検索語句または商品別レポートへ進む |